昨年の春、庭の側溝に足が挟まり顔から転倒した

精神力と忍耐力が必要

昨年の春、リードから外れた犬を追いかけ、庭の側溝に足が挟まり顔から転倒した。車に乗せられ、休日の病院で救急手当を受けた。定期健康診断ではなく、患者として病院に赴いたのは人生で二度目のことである。緊張している私は、唇を縫います、という医者の言葉にすぐには応じることができず、側近の看護士を見て懇願するように「この傷、治りますよね、絶対大丈夫ですよね」と何度も訪ねた。大丈夫です、と言われたところで縫わずに済むわけではないが、医者と自分の間にいる看護士が最後の頼みの綱に思えたのだ。
困惑顔で「2、3か月もすれば治りますよ」と答える看護士に泣きそうな顔を向けたものの、気がつけば仰向けにされ唇に注射が打たれた。
手荒な年配の医師は「このぐらいの傷で」といった調子で最初から対応が悪い。治療が終わった後も、怒りが治まらなかった私は病室を出るやいなや、さきほどの看護士を捕まえ医師の態度の悪さをとうとうと話した。看護士に聞いてもらって溜飲の下がった私はとりあえず病院を後にした。だが、トイレを済ましてからにしようと再び病院に戻ったときである。歩行困難な老人の腰に手を回し、一緒にトイレに入っていく先ほどの看護士の後ろ姿が目に入った。
彼女の本来の仕事は何だったか。そう思った時、私のつまらないクレームに最後まで付き合ってくれた彼女のストレスとプロ意識を見て頭が下がったものである。病院で働くということは、相当な精神力と忍耐力を持ち合わせていなければとても務まらない。二度とお世話にならないよう健康にいそしもう、帰途につきながらそう誓ったものである。
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